プロセスを見る~洗濯物たたみ編~
皆さまこんにちは。
東京都あきる野市にあるグループホーム友の世話人、足達です。
突然ですが、皆さまは家事してますか?
どんな家事が得意だったり苦手だったりしますか?
また、その家事のどのようなところが苦手ですか?
我々が支援を提供する時、どの場面でどんな支援が必要か
また、ここはお一人で出来るから支援は不要だと判断する時
利用者様の動作を観察し、得意・不得意を分析して支援を組み立て、提供します。
今日はそんな取り組みのお話をさせていただきます。
利用者様に洗濯物をたたんでいただきました
ある日、いつもは職員が洗濯物をたたんでいる利用者様に
ご自身でたたんでいただくよう試みました。
実は職員の手を借りなくても洗濯物をたたむことが出来ました。
しかし、服をたたむのが他の洗濯物と比べると難しそうだったので練習してみました。
↑の形を最終目標とします。
自閉症の方は目で見たことに対する理解力が高いため、まずは職員が見本を示し
そのあとご自身にたたんでいただきます。
う~ん。
袖の折りたたみは上手に出来るものの
服を縦に折った時に左右のバランスが違ってしまいました。
次に、折り曲げた時に左右対称に近づけるよう
高さを決めて袖の入り口が来る場所をテープで提示しました。
この形を目指します。
これで再度試みて頂いたところ・・・
う~ん。
首の部分はしっかりと折り曲げられて袖の入り口もテープに合わせていますが
下の部分の折り曲げが足りず、折り目が整っていない状態でたたみ終えてしまいました。
袖を折り曲げる時、片手しか使わなかったことが理由のようです。
今回の試みでは最初に提示した形にたたむことは出来ませんでしたが、ご本人の動作として、
・両手を同時に動かす(マルチタスク)ことが難しそう
・1カ所に着目するとその他の場所への意識の向け方が低くなる
この辺りは自閉症の特性としてよく見られるものですが
・見本を示せばそれを真似て取り組むことが出来る
・動作上、提示する見本は細かければ細かい方が理解しやすそう
ということが分かりました。
困ったら行動を分解してみましょう
今回は「洗濯物をたたむ」という行動の中で、どのような動作がお一人で出来て
どのような手掛かりがあれば今は苦手そうな部分が出来るようなるかを実践の中で確認しました。
この方は、手首の部分をテープに合わせることは出来るが、下の部分の折りたたみが足りなかったので
手首をテープに合わせた後に「下の部分を折る」という手順を加えれば形が整いそうです。
また、自閉症の方は目で見た情報への理解力が高いので
これを写真で示すことでより成功の可能性が高くなります。
「洗濯物をたたむ」と言ってもスタートから終わりまでには実は何十もの工程があり
それを分解していくと、出来ているものと苦手そうなものが見えてきます。
見つかった苦手な部分に対して支援を提供することで
今までできなかったことが出来るようになっていきます。
今回取り上げた利用者様も、今は職員が洗濯物たたみを行っていますが
練習と伝わりやすい手掛かりの導入を駆使してご自身でたたんでいただけるよう
支援を行っていきたいと思います。
最初の取り組みから1週間後、再び練習をしてみました。
今度は両手を使って縦にまっすぐ折りたたむことが出来ていました。
目で見たことは理解を促しやすいことを改めて実感しています。