絶対に止められない拘りが、そこにはある(?)

こんにちは。

先日、冬キャンプ行って焚き火に癒されてきたグループホーム友 世話人の里見です。

2025年も、よろしくお願いいたします。

今回は、自閉スペクトラム症の「こだわり行動」について話したいと思います。

「こだわり行動」は、発達障害の中でも自閉スペクトラム症(ASD)の診断基準にも含まれていて他の障害にはあまり見られないASDの大きな特徴のひとつでもあります。

この「こだわり行動」は、脳機能によるもので、特定の対象に強い執着や変化への不安感、気に入った行動を繰り返すなどの特徴があります。

「こだわり行動」の原因としては、

・想像力の障害により、変化に対して強い不安感を抱き、同じものに固執して安心を求める

・自分の関心ややり方、ペースを維持することを最優先したいという志向が強い

ことなどが挙げられます。

こだわり行動の3つの特徴

ASDの人が現す「こだわり行動」には、3つの大きな特徴があります。

※以下、白石雅一 自閉症スペクトラムとこだわり行動への対処法から抜粋。

①変えない ②やめない ③始めない


 変えないことは、変化や変更することを受けいれない、ということであり「同一性の保持」と呼ばれています。

こだわりの代名詞であり「こだわり行動」の基礎となる部分とも言えます。

 具体的には、物の位置を変えない、靴や衣類を変えない、日課やスケジュールを変えない、食べ物やメニューを変えない、などがあります。

 やめないことは、延々と繰り返す、あきらめない、ことで気に入ったことがあると、その状況に区切りをつけることが自分では難しくなるといった特性を表しています。

 具体的には、絵を描き始めたら時間が過ぎても紙が尽きてもやめない、同じビデオや気に入ったシーンを繰り返し見続ける、などがあります。

 始めないことは、新しいことや新しい場所、状況を受けつけない、ということで強い拒否の態度として現れてきます。

 具体的には、初めての場所には行きたがらない、新しい食べ物やメニューを受けつけない、初対面の人におびえる、などがあります。

M様のこだわり行動

私の担当しているM様も変えないこだわりを持っている利用者様です。

M様は、グループホーム友の利用者様の中でも、ASDの特性が非常に強い利用者様のひとりです。

M様のこだわりは、物の位置を変えないこだわりが、特に強く現れています。

例えば、入浴時に脱衣所や浴室にある物の位置にこだわり、それらが同じ位置にないと服を脱ぐなどの入浴のための行動に移ることが出来ません。

最終的には、本人が納得する状態になれば、次の行動に移れるのですが、毎日のことであり、こだわりの対象や「こだわり行動」が拡大する可能性もあるため、M様の入浴時のこだわりへ介入する支援に取り組むことにしました。

今回は、グループホーム友での、その取り組みを紹介したいと思います。

GH友の取り組みその1

まず、最初の取り組みは、こだわりを発動させない環境作りを行いました。

↓下の写真は、脱衣所の写真です。

M様を入浴のため脱衣所に誘導する前に、こだわりのきっかけとなる物(脱衣かごや収納ラックなど)を片付け、目に触れさせないという作戦です。

これは、予想通り、こだわりたくても、こだわる物が無い状態ですので、効果がありました。

また、物がないことに対して、混乱したりすることもありませんでした。

GH友の取り組みその2

脱衣所での「こだわり行動」は、きかっけとなる物を片付けることで、ひとまず消失しました。

しかし、今度は、浴室の物が気になり、服を脱ぐ行為になかなか移れないといった状態になりました。

脱衣所と違い、浴室の物品はすぐに使用するものばかりで片付けることが出来ません。

そこで、次の作戦ととして↓写真のように、今するべき行動=服を脱ぐが、本人にわかるように視覚で提示しました。

この視覚提示でM様への声掛けが否定的(~しないで)ではなく肯定的(~しましょう)になるメリットもありました。

結果、比較的スムーズに、服を脱ぐ行動に移れるようになっていきました。

GH友の取り組みその3

次は、浴室内でのこだわりです。前述のとおり、浴室内の物は片付けられないものばかりです。

どうしようか?と悩んだ結果、無理になくそうとしないでM様のこだわり行動を理解し付き合うことにしました。

そもそも、M様の物の位置のこだわりは、人に迷惑をかけたりするものではありませんので、ご本人の「物の位置を変えなくない」という欲求を頭ごなしに抑えるわけにはいけません。見方を変えれば、「整理整頓ができる」という長所でもあるのですから。

何回かの行動観察で、M様の浴室のこだわりは↓図のようなものであると分かりました。

M様の浴室での「こだわり行動」が分かったため、事前に準備することもできました。

一番効果的だったのは、M様の「こだわり行動」を職員が見通しを持って、待つことが出来るようになったことです。

この支援を開始して、以前より落ち着いて入浴が出来るようになったと感じています。

 

今回は、自閉スペクトラム症の「こだわり行動」についてお話ししました。

今後も、グループホーム友ではASDの特性「こだわり」を正しく理解し、利用者様をサポートしていきたいと思います。

 

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