高齢者福祉から障がい者福祉へ――現場で感じた違いと共通点

みなさん、こんにちは。

グループホーム友で働き始めて1年が過ぎた渡邉です。

今回は福祉の仕事について考えてみたいと思います。

私は20年以上高齢者福祉施設で仕事を従事しておりました。

昨年心機一転を試み、高齢者福祉から障がい者福祉へ挑戦し縁あってSHIPで従事させて頂いております。

福祉事業といっても様々な業種があるかと思いますが、長年、高齢者福祉で働いてきた私にとって障がい者福祉は未知数な場所でした。

ただ、今まで培ってきた経験や技術も活用できるかと思い、SHIPの理念でもあるChallenge~挑戦~の気持ちで飛び込んでまいりました。

 

 

そして、この1年グループホーム友で従事し感じたことは・・・

同じ福祉業界でも全く違う環境に驚かされることの連続でした。

グループホーム友では重度の知的、精神障害をお持ちの方を対象としたグループホームとなり、重度の障害を持つ(障害支援区分36)方が男性棟20名、女性棟5名計25名の方が生活をされています。

この言葉だけ聞くと【とても大変そう…怖そう…難しそう…】等の言葉連想してしまう方が多いと思います。

かくいう私もその中の一人でした。

大きな声を出されたり掴みかかってきたり…と強度行動障害のパニックになっている場面だけがクローズアップし連想していました。

もちろん、そのような場面が無いとは言い切れないのが現実です。

ただ、その様な場面はもちろん理由があってのこと…

 

 

 

 

以前このような出来事がありました・・・

元気の良いT様は毎週末の外泊を楽しみに過ごされております。

外泊を3日後に控えたある日の朝、生活介護に通所する前に職員に向かって「後、3?」と聞いて来られたとの事。3日後に外泊だった為「3」と返答したと他の職員から申し送りがありました。

夕方・・・

生活介護から帰所されたT様は私に向かって「後、2?」と聞いて来られました。

朝は「3?」と聞いていたはずなのだが?????

2日後はまだ外泊ではない為、少し迷いながらも「3」と答えた私…

 

どうやらT様が聞きたかった答えではなかった様子で立腹される事態に!

 

時間をおきT様も落ち着いたところで、先輩職員とT様の気持ちを振り返り考えてみました・・・

T様の中でのカウントは生活介護へ行くカウントだったのではないか?】

【朝、通所前後3回生活介護に行けば外泊♪】

【夕方、生活介護通所後後2回生活介護に行けば外泊♪】

この解釈をすると、朝の数字から夕方1つ数字が減少した事に合点がいく!!

簡単なことだが奥が深いな・・・と考えさせられるできごと。

そして、私と近しい感覚が見つかり嬉しくもなりました。

私も楽しみな予定があると【後〇日仕事に行けば~♪♪♪】と待ち遠しく思い、仕事を頑張ろうと思うことが多々あります。

指折り数えているT様も、私と同じように頑張って生活介護に通われているのかな?と思うと、送迎車に乗り込む姿が今までと違って見えるようになりました。

 

 このように、パニックになるにはきちんと理由があります!!

人の気持ちなので理由を掘り下げて考えるのはとても難しく深いのですが、その中で利用者様の気持ちに少しでも気付いたり近づけた時は、とても温かく嬉しい気持ちになることができます。

 

 さてこの様な体験も踏まえ、高齢者福祉と障がい者福祉のパニックになった際の相違を考えてみました。

認知症と聞いて「あれ…?日も暮れて来たしそろそろ家に帰ろうかね」とフロア内を歩き回る施設に入所されている高齢者を思い浮かべる方も多いかと思います。

その内、辺りも暗くなってくると「夕ご飯を早く作らないと…」と、どんどん不安そうな表情で落ち着かなくなる事が、以前勤めていた高齢者福祉施設でもよくありました。

 

その際「お家には帰れないですよ、ここに泊まりますよ」なんてただただ現状を伝えると更に不安を煽ることになります。

「お父さんには伝えたかね?帰らないとご飯はどうするかね?」等々…不安は募る一方です。

そこで私が対応していた例を…

私「そろそろ、暗くなってきましたね」

おばあさん「ほうね、帰らないと日が暮れちゃうよ」

私「本当ですね、日が暮れる前の夕焼けですね、空がきれいですね」

おばあさん「空が赤いね、きれいじゃね」

私「本当、きれいですね。♪ゆ~焼け小焼けで日が暮れて…」

おばあさん「♪山のお寺の鐘が鳴る~」

この方はとても歌の好きな方でしたので、ここから二人でカラオケ大会です!

 

10分近く3曲ほど歌うと

おばあさん「お姉さん、ちょっとトイレに連れて行って」

先ほどの帰宅願望は消失されていました。

毎回成功するわけではないですが、好きなことへ話を逸らしたり他の物へ目を向けたりすることが有効的でした。

この様に、障がい者知的しょう害の方に対しては正確な情報を分かりやすく的確に伝える方が安心できることが多く、高齢者認知症の方に対しては寄り添いながらも気分転換をすることで不安を解消する。と支援方法が真逆なことが分かりました。

 

また、グループホーム友に従事して一番驚いたことはご自身で出来ることが沢山あることです。

もちろんお一人で出来るようになる為に、(本日は紹介しませんが直近の芝のブログに構造化について書いてありますのでそちらもご参照ください)様々な工夫はしていますが、その対応力にも驚かされる毎日でした。

高齢者福祉と障がい者福祉は【似て非なるもの】その言葉通りですが、利用者様に寄り添う心は同じです。

その心を大事にしながら、先輩職員や同僚と助け合いこれからもグループホーム友で頑張っていきたいと思います。

 

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