視覚的構造化で掃除を支援~実践編~
こんにちは、グループホーム友の里見です。
夏の暑さも和らぎ、愛犬との散歩もしやすい季節になってきました。 涼しくなった風に秋の気配を感じます。皆さんは、どんな時に秋を感じますか?
今回のブログは、『視覚的構造化で掃除~実践編~』です。 前回の準備編で用意したツールを使って、いよいよSさんに掃除をしてもらいます。
グループホーム友には、知的障害や自閉症の方々が多く入居されています。
今回のブログのSさんも同様です。
支援開始
最初は先行モデリングで見本として職員が掃除をして、やり方をお伝えしました。 念のため、初回だけ掃除の仕方は手添え(身体的プロンプト)での指導も行いました。
そしてSさんに行ってもらったところ・・・、クイックルワイパーへのシートの装着も、掃除もほぼ出来ました。 初回こそ、掃除の順番が分からず、職員が手順書を指差して伝えることが必要でしたが、 2回目以降は理解され、手順書を見ることなく行えました。 なかなか順調なスタートです。
課題分析
さて次の段階です。※課題分析で今回の掃除(行動)の一連の流れの中でSさんのできていることとできていないことを洗い出してみます。
今回の掃除では、以下の9つに分けて行動観察をしてみました。 ①物を部屋から出す ②掃除道具を用意する ③シートを装着する ④掃除する(基本動作) ⑤掃除する(応用動作) ⑥シートを取り外す ⑦シートをゴミ箱に捨てる ⑧掃除道具を片付ける ⑨物を部屋に戻す
※課題分析 行動そのものができない場合、行動を一連のステップからなると考え、どのステップでつまづいているのか、その行動を時系列に細かく分けて分析する方法を課題分析という。
できていないこと
5回掃除を行ってもらった中で観察すると、以下の3つの部分ができていないことが分かりました。 (Ⅰ)掃除する(応用動作) モップ掛けの基本動作はできてはいるが、掃除する範囲が大きいとストロークが長くなってしまい、うまく力を入れることができない。 (Ⅱ)掃除道具を用意する・掃除道具を片付ける 声掛けだけでは掃除道具を用意したり、所定の位置に戻すことができない。 (Ⅲ)物を部屋から出す・物を部屋に戻す 声掛けだけでは、掃除するのに邪魔になる部屋のものを出したり、戻したりすることができない。
このできていない3つの部分を再構造化してみることにしました。
再構造化
まずは、(Ⅰ)掃除する(応用動作)の再構造化です。
掃除する範囲が大きいと上手くできないので、床のマーキングの分け方を細かくしました。そしてテープの色ですが、掃除の順番や方法は初回で理解され手順書がなくても行えているため、テープの色も1色に変更しました。その結果、上手くできるようになりました。順番に関しては、時折止まってしまうことがありましたが、その際も指差しすることで理解し、できるようになりました。
次に、(Ⅱ)掃除道具を用意する・掃除道具を片付ける の再構造化です。
これは、上記の写真①と写真②を視覚提示して、指差しで行動を促したところ、すぐに行ってもらうことがきました。 もちろん言語による指示は行っていません。
最後は、(Ⅲ)物を部屋から出す・物を部屋に戻す の再構造化です。
こちらも言語指示はなしで、準備の際は写真①を、片付けの際は写真②を視覚提示して、指差しで行動を促したところ、すぐに行ってもらうことがきました。
Sさんから学んだ構造化支援
今回の支援は、ここまでになります。Sさんに大きな混乱もなく、居室掃除ができるようになったことは一定の成果はあったのではと思っています。 視覚的構造化の有効性をSさんから教えてもらったような気がしています。 今後は、様子を見ながらSさんのスケジュールに組み込んでいこうと考えています。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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